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卒業後5年の先輩、卒業後10年超えの先輩を招いた特別授業でお話ししていただきました

先輩からのトーク要点とメッセージ

トークの詳細については準備でき次第アップします。

神谷 麻穂

Asaho KAMIYA

水野 太介

Taisuke MIZUNO

西村 有希

Yuki NISHIMURA 

上田 剛

Tsuyoshi UEDA

垣見 雪世
Yukiyo KAKIMI

田 聡美
Satomi DEN

村瀬 貴浩

Takahiro MURASE

村田 佳彦

YoshihikoMURATA 

戸田 柳平

Ryuhei TODA 

アンカー 1

神谷 麻穂

Asaho KAMIYA

作家

大学院修了後、どのように現在に至るか作品制作や展覧会を中心に、特に展示会のきっかけや作品制作で大変だったことなどを話しました。

 

【大学院について】

志望理由 2年自分と向き合い、自分のやりたいことを明確にしようと思い進学を決めました。

私は院に行ってよかったと思っています。作品を作る上で誰になんと言われても揺るがない芯のようなものを見つけることができました。また卒業後は展覧会や打ち合わせで作品を説明する機会が増え、そんなときに作品論を論文でまとめていたので自分の支えになりました。

 

【修了制作からその後】

修了制作作品は作品展で様々な反応を頂きました。

2012年

3月金沢アートグミ 一人長期サポート作家に選出

5月アートアワードトーキョー丸の内2012シュウウエムラ賞

7月金沢のアルトラ

8月金沢燈涼会での展示

2013年

1月リクシルギャラリーガレリアセラミカ 初個展

雑誌掲載など

2012年4月~2013年5月まで茨城の窯元に勤務。仕事と制作の両立の難しさや環境の変化に苦しむ。

2013年6月から富山県高岡市で制作を始める。金沢美術工芸大学実習助手として働き始める。

 

【~現在】

年二回の個展、多くのグループ展を中心に活動。

現在は工房を借り窯を購入。なんとか作家として生きていける兆しを感じています。

アンカー 2

水野 太介

Taisuke MIZUNO

葛利毛織工業株式会社  製造・企画

学生時代から就職活動まで

  • 学生を終えたら企業に入って仕事をするつもりだった。しかし、自分の考えを表現することや、自ら手で織ってテキスタイルを作ることについて、もう少し学びたかった。そこで、3年次は就職活動を行わず、大学院へ進学して、手織りでテキスタイルの勉強をすることにした。

  • 会社を選ぶ際に大切にしたこと。

    • テキスタイル製造のはじめから終わりまで学びたかったので、会社自体の規模が大きくなく、社員一人ひとりの仕事の受け持つ範囲が広いこと。

    • 生産現場とデザイン・企画の両方の部署が、会社の中にあること。

    • 工芸科で身につけた制作スタイルをそのまま会社で活かせること。(デザインと生産を分けず、考えながら作り、作りながら考えること)

 

 

現在の仕事内容

  • 入社四年目

  • 3年間は製造現場で、工業的なテキスタイル製造を一から学んだ。

  • 半年前より企画設計の部署へ。

  • 今でも製造現場での仕事も受け持っている。

  • パソコンに向かってひとりでデザインを考えるのではない。お客様からの要望を聞きそれに応えたテキスタイルを作る。さらに、その会話の中からヒントを得て、トレンドを織り交ぜ、一歩深くまで追求してものづくりを行う。その後もひとりよがりで設計するのではなく、現場の職人さんに相談しながらよりよいもの生み出すように努力している。

 

 

質疑応答

学生時代にしてばよかったこと

  • より深くまでの勉強。

  • 図書館や美術館に足繁く通うこと。

産地を盛り上げるためにしていること

  • 具体的にはないけれど、高齢化が進み従業者数が減っていく中で、稀に自分と同年代の人が産地の中に入ってくることがあるので、そういった人達の手本となるように、自分の出来ることをとにかく頑張っている。

  • 会社の枠を超えてつきあいがあり、情報交換をおこなっている。

5年後の自分の姿

  • まだまだ半人前なので、5年後までには一通り仕事をできるようになっている。

  • 自分よりも年下でやる気のある人達がたくさんいるので、そういったエネルギーをよりよいものづくりに向かうようにまとめていきたい。

アンカー 3

西村 有希

Yuki NISHIMURA 

四季株式会社[劇団四季]技術部 小道具担当

①自己紹介

はじめまして、西村有希と申します。私は5年前にここの漆木工コースを卒業しました。

現在は横浜にある劇団四季で働いており、もうすぐ丸6年になります。

 

②自分の就職活動について

3年生から就活をしてインターンでは飛騨産業という家具メーカーで1週間、大阪にあるグラフというデザイン会社で1ヶ月お世話になりました。その時期は自分が社会に出て何をしたいのか、自分が何になれるのか分からなくてとても悩んでいました。私は一浪して工芸科に入りましたが、現役生の時はプロダクトデザインを受けていたのでそっちへの憧れもずっとありました。しかし漆を通じて学んだことも生かしたいと思っていたのでいろいろと考えましたが、まずは自分の気持ちの整理をしようと思いました。ひとつはデザインの仕事に挑戦するか、工芸の世界でものづくりを続けるか、美術に関わる仕事をするか、それを決めようと思いました。といっても根本的には全て繋がっていると思うので線引きが難しかったのですが、自分の進路を決める上でそれは重要な選択だと思いました。結局卒業する直前まで悩んでしまい、その時点ではインターンでお世話になったデザイン会社へ行くことが決まっていたのですが、やっぱり美術の仕事がしたいと思い劇団四季の募集をリクルートで見て受けようと決めました。それが卒業前の2月のことです。そして四季に決まったのは3月の中旬だったのですでに卒業したあとでした。

 

③劇団の紹介

現在8カ所に四季専用の劇場がありまして、本日も全国各地で12公演の舞台を上演しております。この活動を支えているのは俳優、経営陣、そして私たち技術部の人間総勢1000名で成り立っています。私たちはお客様に感動していただける舞台を世に送り出すことを真摯なビジネスとして活動しています。

技術部は舞台監督、音響、照明、衣裳、ヘアメイク、大道具、小道具の7つの部署に分かれていまして、私が所属している小道具部は主に舞台で使われる様々な道具を製作、メンテナンスしています。大道具にはここの環境デザインを卒業した後輩が働いています。

 

④小道具の仕事について

現在12演目の作品が全国で上演されているのですが、演目によってアイテムの種類や数も違いますし、多いもので100以上のアイテムを管理することも多々あります。その作りに関してテレビや映画などの一般的な制作会社との違いは一回きりの撮影や数カ月の撮影のための製作とは違い、うちは一度製作したら最低でも5年は使いたいんです。1年間の公演をすれば約300ステージつまり300回使用するということなので、それに耐える強度はもちろん、メンテナンスしやすい素材や作り方を考えるわけです。そしてデザインについては四季のオリジナルの作品だとある程度決めれる部分もありますが、海外の作品例えばライオンキング、アラジン、オペラ座の怪人というものになるとデザインが決まっているのでそこはデザイナーと相談してしっかり形にしていきます。

 

⑤作ること以外の仕事について

こうしてお話しているとやはり作ることがメインかと思われがちなのですが、実際は作るだけでなくそれ以上にもっと仕事があって、私たち小道具は製作進行というのが役割なのですが、その進行というのが1つの作品を開幕するまでの準備をするということなんです。

作るときはは業者への発注もありますし、出来上がったものを実際に使用する俳優との対応も非常に難しいです。重いから無理、踊ってるとズレる、いろんな不具合が出てきます。それを一つ一つ対応するとなると、もちろん技術力も必要ですがそれは後からついてくることでコミュニケーション能力が一番重要です。この仕事で一番必要なことだと思いますし、社会に出る前にできるだけ身につけておかなくてはいけない事だと思います。

 

⑦さいごに

ここまでの話の通り、私はみなさんの参考になるような就職活動は出来ていませんでしたが、ここで学んだ四年間というのは今の自分の仕事にしっかりつながっていると思います。みなさんが学生としてここで学んでいることと必ずしも直結した仕事でなくても無駄なことはないですし、必ずあとから繋がってくると思います。なので、いろんな業種がありますから、視野をめいいっぱい広げて挑戦してみてください。以上です。

 

アンカー 4

上田 剛

Tsuyoshi UEDA
 

有限会社モメンタムファクトリー・Orii 社員

  1. ・在学中の制作について

    学部3年時の特別制作の授業において、自身の研究テーマとして、当時最も興味のあった「金属の着色技法」を掲げ、文献などを調べながらテストピースを制作する。この研究を行ったことが、その後の制作活動及び現在の仕事内容にまで、大きく影響することになる。

    金沢美術工芸大学を卒業後、東京藝術大学の大学院に進学し、鋳金技法の研究を継続する。

    研究テーマを、金属の着色技法からも発想される、金属自身の表面感覚(=金属の触覚)をもとに、鋳金技法の工程における金属と自身の触覚性の考察と具現化と設定し、同テーマで修了制作を提出する。

     

  2. 修了後の進路について

    大学院修了後、学部3年時にインターンシップでお世話になった、富山県高岡市・有限会社モメンタムファクトリー・Oriiに就職する。富山県高岡市は高岡銅器という地場産業があり、国内の美術鋳物のシェアの9割を占める日本有数の鋳物産業が根付く産地である。

    産地における企業の研修や伝統技術の後継者育成などを目的とした、高岡市デザイン工芸センターでは、鋳物場の一般開放も行っており、会社での業務とは別に作品制作を行う際、センターの鋳物場を利用できる。鋳金の作品制作を続ける上で、鋳造を行うことができる設備を個人で整えるのは、安易ではない。共同の鋳物場が存在するということが、仕事と制作を両立させる上で、大きな利点となる。

     

  3. 仕事内容

    モメンタムファクトリー・Oriiでは、仏像・仏具・銅像などの着色業務、自社製品の制作・管理、他者との取引の窓口、書類作成等を行っている。弊社では、それまでの伝統産業の市場を拡大し、金属着色技法の新たな需要を模索する事業を行い、展示会などに積極的に参加している。伝統的な着色技法と、着色技法の新たな展開を考え、発表の場を増やして、銅器着色の認知の普及に努めている。

     

    ・仕事以外の活動

    会社勤務をしながら、作家として自身の作品制作の活動を行っている。グループ展への参加、展覧会の企画、コンペへの応募等を行い、作品発表の場を設けている。また重要伝統的建造物群保存地区、高岡鋳物発祥の街である金屋町において、「金属工芸工房かんか」のメンバーとして、活動を行っている。かんかではメンバーで建物の改装を行い、工房・ギャラリー・ショップの機能をもたせ、メンバー自身で運営をしている。高岡のベテランの職人さんと鋳物についての勉強会を開催したり、周辺の若手作家の集まる場として定期的に交流を行ったりしている。他の活動として2015年には高岡市の他分野の若手クリエイター(陶芸家、建築家、フラワーアーティスト、DJ等)との交流を通してイベントを企画し、展示を行った。

     

    ・今後のビジョンについて

    今後、鋳物による作品制作をどのように続けていくかを考えるうえで、制作活動と経済活動の兼ね合いの形を模索していきたい。

    産地の今後について、産地において職人と作家という二面を持つ私ならではの働きかけができればいいと思う。

    夢は、「いつか自身が感動するような作品を作りたい」と話した。

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