卒業後5年の先輩、卒業後10年超えの先輩を招いた特別授業でお話ししていただきました
先輩からのトーク要点とメッセージ
※トークの詳細については準備でき次第アップします。
神谷 麻穂
Asaho KAMIYA
水野 太介
Taisuke MIZUNO
西村 有希
Yuki NISHIMURA
上田 剛
Tsuyoshi UEDA
垣見 雪世
Yukiyo KAKIMI
田 聡美
Satomi DEN
村瀬 貴浩
Takahiro MURASE
村田 佳彦
YoshihikoMURATA
戸田 柳平
Ryuhei TODA
戸田 柳平
Ryuhei Toda
戸田 柳平
Ryuhei Toda
(有)渋草柳造窯 代表取締役
昨今、工芸、殊に伝統工芸は後継者不足に悩まされている。それには様々な要因によるものだが、大きな理由の一つとしては「売れない」ということだろう。つまり作り手がものづくりによって生活することが出来ないため離職、または就業を敬遠する。この傾向が続けば、携わる人間が年々減少し、ひいては伝統の消失につながる危険をはらんでいる。
つまり「売れる」ものを作り経済的な基盤を作ることが、伝統をつなげることにつながる。
では「売れる」ものはどのように作ればいいか。それについて、経営者の立場から私の思うところを話した。
1: 一世代前まで伝統工芸は日常生活の中で必要不可欠なものだった。しかしライフスタイルの変化によって、今日では必ずしも必要ではないもの、人によっては不要なものになっている。つまり従来と同じものを作っていても売れない。
2: 今日、売れるものを作るにはマーケティング、マネジメントの意識が必要である。簡単に言えば、「自分が出来ること、武器」+「世の中にないもの」=「売れるもの」という方程式である。
今年弊社がアパレルブランド等とコラボした商品を見てもらい、それに絡めて上記2点の説明をした。ただ、ものづくりの人間は、得てしてそれ以外のことに頭が回らない。と言うより、ものづくり自体が、一生掛けても極めることが出来ないほど難しい仕事である。
そこで弊社では、弟が次期7代目としてものづくりに専念し、私がマネジメントとマーケティングを受け持つという役割分担をしている。
高校で習った三次関数で言えば、弟がY軸(縦軸)を上下に伸ばし、私が前後左右にX,Z軸(横軸)を広げることで、伝統技術の継承と創作活動と革新を継続、実現させていくのである。
学生の皆さんの将来には、今現在学んでいる内容を生かせる無数の選択肢があり、それを見つけられるかどうかは、自身の真剣さにかかっている。
製作、勉強、趣味、恋愛。今しか出来ない人間活動を精一杯楽しみ、素敵な社会人になられることを切に願うと締めくくった。
村田 佳彦
Yoshihiko urata
作家
- 略歴
1977 群馬県桐生市生まれ
2001 金沢美術工芸大学美術工芸学部工芸科卒業
2002 長野県上松技術専門校木工科修了
2005 金沢卯辰山工芸工房修了
現在 富山県南砺市にて制作
- 主な個展
2008 エキジビション・スペース/東京国際フォーラム
SILVER SHELL/東京
2010 ART WORK STUDIO AN/高岡
ギャラリー点/金沢
2012 KEIKO Gallery/Boston,USA
2015 柿傅ギャラリー/東京
- 主なグループ展
2005 「Kanazawa Eye vol.1-人間へのまなざし」(金沢21世紀美術館)
2006 「もうひとつの楽園-Alternative Paradise」(金沢21世紀美術館)
2009 「新里明士・村田佳彦展」(画廊光芳堂/岐阜)
2011 「八人展」(柿傅ギャラリー/東京)
2012 「茶の湯の現代 -用と形-」(菊池寛実記念 智美術館/東京)
2013 「現代工芸の展開」金沢市立安江金箔工芸館/石川
2014 「Dialogue with Materials : Contemporary Fine Japanese Arts and Crafts」
(Ahmed Adnan Saygun Sanat Merkezi/Turkey)
2015 「NIPPON! Contemporary Arts and Crafts」(ESH Gallery/Milan,Italy)
「現代工芸の展開2015 金工と漆芸」金沢市立安江金箔工芸館/石川
-コレクション
Minneapolis Institute of Arts, Minnesota, USA
講演の要素
○制作、仕事について
富山県南砺市にて制作を続けている。主に個展・グループ展を中心に発表活動を続け、近年は国内だ
けでなくアメリカやヨーロッパ、トルコなど海外での作品発表の機会も増えている。
制作の傍ら、主に市内中学校の美術科非常勤講師として勤務。また城端曳山祭の文化財修復事業に
も携わっている。
○学生時代のこと
漆の制作を始めて1年ほどが経過したころ、ある一つの悩みがあった。それは漆で制作をするため
には避けては通れない「乾き待ち」が、どうしても耐えられない。そのためにストレスを抱えながら
の制作を続けていたが、それでも自分の作品を作りたいという思いも同時に強く感じていた。
苦しみながらも漆と向き合い続けていたが、ずっと続けていくのは無理かもしれない...と考えるよ
うになる。卒業制作を終え、結局は卒業とともに漆の制作から手を引くことになる。
○再び、漆へ
その後、木工・家具制作の技術を習得するために長野県にある職業訓練校に進む。カンナやノミなど
を使って木材を加工することは自分に合っていると感じていたが、制作の大部分が工作機械中心の作
業工程になってしまうという現実を目の当たりにする。木工を続けることに疑問を感じ始めていた
が、そのことは改めて手仕事のよさ、漆のよさを実感するきっかけにもなった。
その後、漆を一から学び直すと決心し、金沢卯辰山工芸工房に入所。漆の制作を再び開始する。
○これまでの経験から感じたこと(伝えたいメッセージ)
ー仲間との縁、結びつきを大切にー
これまで制作を続けることができた理由の一つに、展覧会を通じて出会った同世代の作家たちの影
響が大きい。彼らもフリーで活動し、自分の作品を制作するために頑張っている。その意識があるか
らこそ共感し、信頼できる、切磋琢磨できる関係でいられる。制作を続ける上で、現在でも大きな励
みとなる存在である。
―作家ではなく、一人の人間として生きていく―
作家活動を続けていくと、どうしても制作を一番にしなければならない思考に傾いてしまう。しか
し生きていく上で、制作よりも大切なことがあるのではないか...自分は続けてきて、そう考えるよう
になった。それがあった上で、どのように制作と付き合っていくか...自分で考えて、気付いてほしい。
そして一人の人間として成長していってほしい。
田 聡美
Satomi Den
作家
・ 大学在学中よりガラスを習い始めたきっかけ。
・ 金属とガラス、異なる素材を扱うことについて。
・ 大学卒業後、社会に出て感じたこと。
・ 卒業後1年を経て、富山ガラス造形研究所にてガラスを学び、自分自身の中 に芽生えた、作品制作に対す
る覚悟。
・ 卯辰山工芸工房へ入り、学生とは違う立場になり、少しずつ作家としての活 動が始まったこと。
・ 卯辰山工芸工房を終え、フリーの作家として活動していく上での難しさや、 大切にしていることなど。 ・ 作家を仕事として続けている中で、人との関わり方や、作品発表や販売につ いて。
・ 学生生活の中で、経験して欲しいことや、大切にして欲しいこと。
村瀬 貴浩
Takahiro Murase
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2002年:大学卒業
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2004年:大学院修了
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2004年〜2006年:秋田
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2007年:金沢美大+講師(中学校3校)
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2008年〜:武内プレス工業入社
【伝えたいこと】学部の時に将来のビジョンを描く
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作家≦就職
・1年生のときはテキスタイル。表現したい材質は金属の方がしっくり。
・もう少し金属の勉強したくなり、大学院へ。この時点では漠然と作家として生きて行くのではないと感じる。
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作家≦就職
・教えることも楽しく制作もできる環境へ。
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作家<就職
・作家は自分には向いてないと確信に。
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作家<就職
・講師はクリエイティブでないし、この給料では将来が不安。ある程度自由に使えるお金が必要。
⑤鋳物の考え方を生かせ、クリエイティブな仕事
・製品開発部で必要なこと。同業他社でも作れる容器は作らない。顧客の要望に応えながら最大の利益が得
られる仕事。スタンダードを作ることが夢。
制作することへの未練
就職してからすぐは制作をしていたが今はほとんどできていないのが現状。
制作する人の環境もわかる。
私のパートナーはガラス作家であり、自宅に工房で仕事をしている。
HP更新、作品写真撮影、梱包箱作成等を手伝っている。
彼女に求めることは、家庭を守ってもらうことと、作家活動もそこそこ力を入れてもらうこと。
武内プレス工業 技術開発本部 製品開発部 係長
垣見 雪世
Yukiyo Kakimi
織物企画製造会社 ㈱ドヴァ 営業・企画・生産