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アーティスト

略歴

平成13年度(2001年度) 学部卒業

学生のみなさんへのメッセージ

僕は最近、もといた大阪から、千葉に移り住みました。

 

普段アトリエで制作して籠りがちだったのですが、東京も近いので、最近は比較的よく外に行って、友達の個展のオープニングのパーティとか行ったりするようになりました。

 

当たり前のようですけど、世の中にはたくさんのアーティストがいて、それぞれ色んなことに探求心、好奇心を持って、どうにかこうにかそれを自分の作品として結実させようとしています。もちろん、効果的な作品が出来上がる場合もあれば、そうでない場合もあるし、売れる場合もあれば、売れない場合もあります。いろいろを乗り越えて、自分のアーティスト人生を太く継続させようとしているわけです。

 

 

 

僕がアーティストをやっていて面白いと感じるのは、自分の作品がきっかけになって、ぜんぜん知らなかった人と友達になったりすることです。

 

もしその絵を描かなければ、僕はこの人と出会わなかっただろうとか、この場所に来なかっただろうとか。制作している最中はもちろん予想していなかったことなのに、

 

その作品のせいで、僕は人と出会い、場所と出会うことになるわけです。自分で自発的に作ったものが、今度は自分を引っ張って行く原因になってることが明らか、というのが、なんか不思議で面白いです。

 

 

 

こんなことがありました。

 

僕は香港のアートフェア(芸術作品の見本市のようなもの)に出展しました。すると、そこに来ていたポーランド人が僕の絵が好きだと言う。僕の所属するギャラリーを通して、

 

彼から手紙が届きました。手紙によってわかったのは、彼もまた僕と同じ画家であること。年齢はほとんど変わりませんが、キャリアの上では彼のほうが上と言えます。手紙をもらったからには返事をしなければということで、彼のメールアドレスに返事を書きました。そして何度かメールをやりとりするうちに、彼の中にも、僕と同じように、絵に対する熱意があり、いつも何か作っていたい、作れればいいな、と思っている人だということがわかりました。冷静に考えればなんてことのない発見なのですが、僕にはそれがとても新鮮でした。やりとりが重なるうちに、お互いの趣味について詳しくなり、また彼の生活の様相について知るようになりました。彼は僕の作品を持ち、僕も彼の小さなドローイングを持つようになりました。実物の絵を見ると、さらに相手のことが伝わる気がするものです。モチーフの選び方、線の描き方、それぞれに、自分と似た所、同時に、国がらと国の持つ歴史から出てくるお互いの違いについて感じることができました。僕と彼は異なる2人の人間です。でも、違うというところにむしろ良いものを感じます。

 

 

 

少し長くなってしまいました。僕がアーティストでいる上で嬉しいと思うのは上に書いたようなことです。お金が入ることももちろん、とても重要です。それは作品のモチーフにもなりますので、清濁は関係ないと思っています。とはいえ、明日も作ろうと僕に思わせるものは何かと考えたら、だいたいはそういうことなので、今回はそれを書きました。みなさんも、学生とはいえ制作者です。同じ展覧会に出すこともあるかもしれません。その際は、どうぞよろしくお願いいたします。

 

 榎本 耕一

 ENOMOTO

 KOICHI

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