作家 大学教員 バッファロー大学 副教授
金 宣和
KIM
SUNHWA
学生のみなさんへのメッセージ
韓国の大学に通っているときに“何かしないと何も起こらない”、と誰かが言いました。
其の言葉が心に残りながら日本を旅行している時に、日本の漆に出会い其の美しさに感動しました。
感動が覚めないまま韓国へ戻って日本語の勉強を始めたのが大学4年の時でした。
一年経って日本に留学ができ、金沢に着いた日は、一人暮らしが出来るかどうかどきどきして、期待半分と不安半分で緊張感一杯でした。
幸いにも先生方、学生、そして近所の皆さんにはとても優しく親切にして頂きました。
金沢に来て日本語がまだ聞き取れなかった頃、先生が“なかなかやるね!”とおっしゃって下さいました。“なかなか”の意味が知りたく友達に聞くと、それは先生が“素晴らしいね!”って誉めていることだよと、言ってくれました。
卯辰山の工房に見学に行った時、先生の作品を見て、“なかなかやりますね!”と言いました。
私にとっては“素晴らしいですね!”と言ったつもりだったのですが、、、、、。
これを含めて沢山の失敗をしましたが、1つ1つの経験から学び、勉強を続けることができました。
日本文化と伝統を体験をし、漆の技術と過程を身につけられた事は、私の大切な宝物です。
私が漆に身に入らない時に、山村先生が“金さんは漆を学びに遠くから来ているのだから、もっと皆より頑張らないと!”と言って下さいました。それを聞いて私は目が覚めました。
其の日から、一生懸命に頑張り続けることができました。
現在、アメリカの大学で家具デザインを教えています。その間に漆のワークショップを開き学生たちに漆の紹介もしています。
年々多くの人々が漆に興味を持つようになり、其の結果2013年の5月20日から24日まで国際漆シンポジウムをArt Conservation, Design Department, and the Burchfield Penney Art Center の協力でBuffalo State Collegeで開催する事が出来ました。
そのシンポジウムは漆に関わる各分野の芸術家、科学者、歴史家などが参加し、其の方達は漆の展覧会、実演、講演などをされました。
家具デザインを教えながら漆の作品を作る私の最大の悩みは、ホコリとの戦いです。温度と湿度を保のも難しく、更に金粉や銀粉など材料や道具を揃える事もとても難しいです。その間に学生が漆にかぶれた時はびっくりしました。
それでも漆の素晴らしさを紹介できるのは最大の喜びです。
これからも韓国、日本、アメリカに限らず、世界の国々のみなさんと漆の良さを共有し、さらにそれを多くの人々に伝えていきたいです。
私は漆の素晴らしさと、それを学んできた事を人々に伝承していきたいです。